Fairchi

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ブラック企業の洗脳

 

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皆さんはブラック企業と聞くと何が思い浮かべるだろうか。一般的な回答としては、過酷な残業や低賃金といったものであるだろう。では、なぜそのような組織が成り立っているのか気にならないだろうか。私は気になった。そこで今回フォーカスしたいのが、しばしば社員に課せられる「研修」である。

 研修の概要としては、「企業内教育は、企業が従業者に対して行う教育のことである。企業内研修、社員教育、社員研修、社員教習など、呼称はさまざまである。」(Wikioedia参照)というのが通例である。

 この研修であるが、ブラック企業でよくみられるのが、度が過ぎた研修。いわゆる、ブラック研修というものである。その内容としては以下の通りだ。

・社訓の暗唱・社歌を大声で歌う
・講師から罵倒される
・眠らせない
・長距離の歩行やマラソン、登山を強要される
疲労感で思考力を奪う
(Wikipedia参照)

 ブラック研修の内容を見てみると、どうも理にかなったものは無く、社員の教育には不適切であるように見えるものがほとんどである。しかし、一見無意味なことのように見える事柄にこそ、意味があるものである。

 実は、このようなことは日本の研修以外にも見られる。その例としては、とある南アフリカの部族の加入儀礼だ。この儀礼では、少年たちが殴打、寒さ、渇き、体罰等に耐える必要がある。また、とあるアメリカの大学でのフラタニティに入る際にも同様な体罰等に耐える伝統がある。(影響力の武器参照)

 では、なぜこのような組織に入る前もしくは入ってからすぐに、このようなひどい仕打ちを新人に与えるのだろうか。これにはコミットメントが深く関わっている。

 わかりやすいように簡単な例を示す。人は何か努力して何かを成し遂げたとする。すると、何も努力しないで同じことを成し遂げたときよりも、そのことを過大評価する。このことは、容易に想像つくはずである。

 これと同じことが、体罰などのひどい仕打ちを行う研修(加入儀式)でも起きる。つまり、研修を受けた人たちは、研修を乗り越えて組織に入る権利を手にしたという考えに至り、そのことを過大評価する。さらに、その組織に対して過大評価をするため、結果として組織に従順な奴隷が出来上がるのである。

 また、この際に重要なのは逃げ道を作らないことである。要するに、被研修者に対して現在行われている研修は、その組織の一員になるためだけだと思わせることが重要なのである。だからこそ、無意味な罵倒や体罰に耐えることを強いられるわけである。逆に、自己のスキルアップや他人に貢献するようなことをやらせると、逃げ道を作ってしまい、組織への従順性が薄くなると言える。

 単純なプロセスを示すと、最初の新人研修での理解不能体罰は結果として、受講者に達成感を与え、会社に従順な社員を作り出すことに貢献しているということである。

 ちなみにこのような新人に対する苦行自体をなくすことは難しい。実際に、アメリカの大学の例では死亡者が出て、外部からどんなに非難されても、このようなことはなくならなかったそうだ。しかし、このようなことは組織を守るために非常な重要なことであるから、それは当然といえば当然なのかもしれない。結局のところ、このような事柄に関しての身を守る手段としては、自己判断で逃げるなどの選択をとるしかないと考えられる。